雇用保険資格取得届の手続の現場から
さて 当事務所では、雇用保険関係諸手続は原則電子申請で対応しており、資格取得届も同様となっております。通常資格取得届は、マイナンバーと雇用保険被保険者番号を入力して電子申請すれば、概ね1週間程度で審査終了となり、関係書類が電子公文書で申請者(社労士宛)に配信されます。この電子公文書を印刷して事業主宛に郵送、もしくは雇用保険関係の電子公文書はPDFファイルなので、まれにデータ配信することもあります。
ここで新規卒業で初めての入社で雇用保険被保険者番号がない場合、また以前雇用保険に加入していたが7年以上経過した場合などは、新規扱いで手続きします。ところで雇用保険被保険者番号がわからない場合は、前職で雇用保険に加入していた事業所名や在職期間、事業所所在地などの情報を従業員から提供してもらい、かつ公共職業安定所に情報開示の同意をしてもらった上で、雇用保険資格取得届の備考欄に入力すると、公共職業安定所の審査担当官が過去の被保険者データ検索して審査となります。ここで大抵は雇用保険被保険者番号が判明して審査終了となります。なお雇用保険被保険者番号は、前職の雇用保険被保険者証や離職票などにあります。
従業員が外国人の場合は、この雇用保険資格取得届が、外国人雇用の報告(法令で義務づけられています)もかねているので、短期滞在者でない限り、在留カードが発行されているので、在留カードの確認(基本的には写しを取ります)して、在留カード番号、在留資格など在留カードの情報も入力することになります。
公共職業安定所に雇用保険資格取得届の電子申請を行いますが、現在は各都道府県労働局雇用保険事務センターがその都道府県内の公共職業安定所分を一括して審査しているところですが、前職の雇用保険資格喪失届が提出され審査終了していないと、こちらの資格取得届の審査が保留となります。この場合は雇用保険事務センターから事業所所轄の公共職業安定所にデータが転送され、前職の資格喪失届の審査終了を待ってからの処理となります。この転送したというメッセージが申請者(社労士)に届きますので、こうなると長い道のりとなります。
当事務所での体験例からは、電子申請してから1ヶ月経過した頃に所轄公共職業安定所に電話してみて、到達番号とこれこれの件というと、その頃には大抵前職の資格喪失届の審査は終了している模様で、後日審査終了となり電子公文書が発行されます。
あと1つ審査終了が遅くなる要因としては、毎年4月中の資格取得届です。毎年4月上旬から中旬にかけて、資格喪失届と離職票の審査が最優先となり、4月中の資格取得届の審査は後回しにされ、4月下旬から5月中旬にかけての審査業務となるため、これまた遅くなる要因であり、毎年事業主様から当方がお叱り受けることもあります。法令では資格取得届は毎月翌月10日までに申請となっているので、公共職業安定所側でも4月の資格取得届は、4月下旬以後申請してくださいということになっています。
当事務所でも、4月中の資格取得届の電子申請は、概ね4月15日以後に順次行っていますが、令和4年度はゴールデンウィーク明けの現在(令和4年5月12日現在) において、4月中に電子申請した資格取得届の審査が1件も終了していない状況です。今後順次審査され、電子公文書が発行され審査終了となるかと思われます。
今回雇用保険資格取得届の手続をテーマにしましたが、以上ご理解とご協力をいただいた上で円滑に手続業務を進めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。