一括有期事業の手続が簡素化されます
さて建設関係の事業を行っている事業所の労働保険適用徴収関係手続に関係してくる内容で、「平成31年度までを取組期間 とし、政府全体で行政手続コスト(行政手続に要する事業者の作業時間)を20%削減する取組を進める」ということで、一括有期事業間手続が簡素化されることが、平成30年7月17日に厚生労働省HPにおいて報道発表として掲載されました。今回の内容については、平成31年4月から施行される予定とされています。
1,一括有期事業開始届の廃止
この届は、元請として工事を開始した場合に開始した月の翌月10日までに労働基準監督署長に提出することになっていますが、これが廃止されることになりました。
これはかなり画期的なことと思っています。現在一括有期事業開始届をして、労働保険年度更新の書類等作成の時に、一括有期事業開始届の後に工事期間や請負金額の変更の有無の確認を行う事になります。一括有期事業開始届が廃止となりますと、労働保険年度更新の時に該当する年度の元請工事が終了した案件を1年分を一挙にまとめるとなると、一時期に事務が集中する事になります。また事業主の皆様にもご迷惑おかけすることにもなろうかと思われます。そこで半年ごと若しくは4半期ごとなど、ある程度区切って元請工事の終了した案件の情報を提供していただきながら、労働保険年度更新の時期には最終確認をすることになるのかなと現在検討しております。
なお平成30年度(平成31年3月31日まで)は、まだ一括有期事業開始届はありますので、次回平成31年度の労働保険年度更新はほぼ現行の方式で進められるものと思われます。
2,一括有期事業における地域要件の廃止
これは一括有期事業として一括できる元請工事の場所が現在限定されており、都道府県毎に指定されており、例えば香川県に事業所のある場合、香川県以外の場所で開始した元請工事が一括できる範囲は以下の通りとなっています。
徳島県 愛媛県 高知県 大阪府 兵庫県 岡山県 広島県
従って例えば香川県に事業所があり、京都府で元請工事を開始した場合には、現場を管轄する労働基準監督署に現場毎に個別に手続を行って、保険料も個別にやりとりしなければなりません(但し一部の事業について例外もある)。ちなみに電子申請ですと、このケースでもそんなに負担はありませんが、ただ保険料を領収済通知書で納付するとなると、領収済通知書は各都道府県労働局毎となっているので、送信先の労働基準監督署もしくは都道府県労働局労働保険徴収室から別途郵送依頼をして準備する必要が発生します。
この地域要件がなくなることで、改正後は請負金額が1億8千万未満かつ保険料金額が160万未満の元請工事であれば、上記のような個別手続は不要となり、一括有期事業として扱えるようになり、別途保険料のやりとりも不要となり、提出側も事務手続簡素化されます。