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業務の館 
  労災保険・雇用保険の部屋


業務中や通勤時の負傷等は労災保険を! 続編


労災使わないで補償しきれるか?

 さて業務中の負傷等で労災隠しを実行して、負傷等した労働者に会社が補償しきれるだろうか?治療費はいわゆる自己診療と同じすべての金額、休業補償(それも労災保険と同等レベル)、そして負傷等が悪化した場合には障害補償、死亡したときは遺族補償まで、その労働者が退職しても、在職時の負傷等が原因の場合面倒見なければなりません。それは会社の経営事情で払えないという理由で負担できなくても、補償を続けなければなりません。そういうのは事実上難しいでしょう。労働基準法第8章の災害補償の条文をクリアすればそれはそれでいいのですが、それだけでは不十分でしょう・・・。万が一会社が倒産でもしたら、労働者はお先真っ暗ではないですか?
 労働基準法における補償、労災保険における補償は、同一事由によるものであればその価額の限度において民事上の賠償は免れることになっております。しかしこれらの補償には慰謝料は含まれていませんので、慰謝料名目の支払いは別途行う必要はあります。
 

労災保険の給付について

 治療費 
 全額保険給付でまかなわれるので労働者の負担はありませんし、治癒したと認められるまで給付が受けられます。

 休業(補償)給付
 休業してから4日目より療養のため休業している間、平均賃金の60l、また特別支給金(労災保険には社会復帰促進等事業がある)として20l、つまり平均賃金の80lの給付がある。しかも健康保険の傷病手当金のように1年6箇月までというような上限がありません。なお1年6箇月経過した場合、傷病(補償)給付条件に該当した場合は、年金もしくは一時金に切り替わる場合もあります。なお業務中による負傷等で休業3日目までは、労働基準法により平均賃金の60lの金額を事業主は支払わなければなりません。

 障害(補償)給付
 労災保険の障害(補償)給付は、厚生年金や国民年金の障害年金よりも対象が広く設定されており、年金(1〜7級)と一時金(7〜14級)となっております。しかも同一事由の負傷等で厚生年金や国民年金の障害年金に該当した場合にも、労災保険から年金支給は、減額調整されますが受けられます。労災隠しはこのような機会も奪うことになります。

 遺族(補償)給付
 年金として給付され、厚生年金や国民年金の遺族年金に該当した場合は遺族(補償)給付との併給(減額調整はある)もできます。

 葬祭料(葬祭給付)
 315,000円に給付基礎日額30日分を加算した金額、又はこの金額が給付基礎日額60日分を満たない場合は給付基礎日額60日分が支給されます。健康保険や国保よりは支給 額が多いはずと思います。

 その他
 労災保険では、介護遺族(補償)給付、社会復帰促進等事業などもあります。社会復帰促進等事業は、外科後処置、義肢等補装具支給、アフターケアーなど被災労働者の福祉向上のための様々な事業がなされています。その中の1つとして就学等援護費は、3級以上の障害(補償)給付、遺族(補償)給付、傷病(補償)給付の受給者で子供の学費の支弁が困難な場合に支給される制度で、子供が幼稚園等から大学生までが対象となっています。

 このように労災保険の各制度は、社会保険より充実している場合があります。ここであげたのはほんの概要ですので、詳細については厚生労働署HPなどを参考にしてください。


労働者死傷病報告について

 労働者死傷病報告は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内等における負傷窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業した場合等には労働基準監督署長に提出することになっております。休業が4日以上又は死亡の場合は、「労働者死傷病報告」(様式第23号) を遅滞なく(解釈としては2週間程度まで)、休業4日未満の場合は、「労働者死傷病報告」(様式第24号)を四半期毎にまとめて4、7,10月、翌年1月末までの提出となっております。休業したけど有給で穴埋めしたとか、会社が休業部分も賃金支給したなどの理由で労災保険を使わなかった場合でも、本手続は必要です。
  建設業の場合は、工事現場を管轄する労働基準監督署長に提出となっているため、事業所と工事現場の労働基準監督署が異なる場合には注意が必要です。また被災労働者が下請け企業所属の場合は、下請け企業が作成しますが、労働保険番号は元請けの労働保険番号を記入するようになっています。


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