通勤災害おもしろ話4
4,退勤時
さて会社の勤務を終えて自宅に帰るまでの退勤時の相談は、通勤時と違っていろいろなハプニングが数あまたで相談件数も比較的多くかつ風変わりのも結構あったような記憶がある。
退勤の出発点はどこからかと考えていくと、会社敷地が公道と接している地点である。したがって会社の敷地が広くて建物の入り口から会社の公道に面している正門間での間は業務上災害扱いとなる。中には以下の事例紹介のような微妙な判断のケースもある。また営業など外勤勤務の方が会社に帰らず自宅へそのまま帰る場合があるが、これは最後の訪問先を出発したときが退勤の開始とされる。
まぁまともに退勤すれば何も悩むことはないのだが、途中買い物によってみたり一杯引っかけてみたり等脱線行為が入ったときに通勤災害として認められるかどうかである。
買い物については、例えば退勤の返りにスーパーマーケットに立ち寄って帰ったという場面を頭に思い浮かべてみよう。ここでスーパーの駐車場や店内で負傷したら、これは通勤労災の適用にはならないのである。どうしてかというと退勤から逸脱中であるからだ。もう1つ買い物が終わってから退勤の経路に戻った後で負傷したら、これは通勤災害とされるのである。但しこの場合会社から自宅までの所要時間との間にあまりにもかけ離れていたり、また買い物の理由が日常必需品などで生活に必要最小限度の物、行為であることが必要である。そして妻帯者が買い物をして負傷した場合と独身者が買い物をした場合とでは扱いが異なることが多い。前者は否認、後者は通勤災害として認められる場合が多いのである。
帰りに飲食の場合は、駅でちょっとコーヒーを飲んでからごく短い時間で電車に乗ってから負傷した場合はほぼ認められる。しかしコーヒーを飲みながら旧友と話し込んで1時間して電車に乗って怪我した場合は否認される。ここで妻帯者が晩飯を食べてから帰りに負傷した場合と、独身者が同じ行為をした場合とではどうだろうか。前者ははたしてその必要性があるのかが問題になりよほどの事情がない限り多分否認されるケースが多いのではないだろうか。後者は過去の事例からして結構認められている。中には職務の後少々晩飯を食べてから帰りにまた飲食店に寄った後に怪我をしたケースが認められている事例がある。
これはどうだろうか・・・会社から通常はまっすぐJRの無人駅から無人駅の間で移動するのだが、定期券の更新のためにこの日は全く反対の有人駅に立ち寄っていつもの経路に戻ってから負傷した場合などは、必要最小限の行為で通勤災害となると思われる。
男性の散髪屋によってからの帰りの経路での負傷は、散髪によったら普通は1時間ぐらいはかかってしまうので気になるようであるが、過去の事例集では散髪は業務に気持ちよく当たるために必要な行為で保健衛生上も必要なので・・・というなんだかヘンな理屈で通勤災害として認められている。
事 例 紹 介 3
今回は勤務が終わってからまさに帰ろうとしていて、会社の建物の外出たところにて足を滑らせて公道に前のめりに転んで怪我したケースの相談事例である。
さて問題は怪我した場所の考察である。玄関の段差は会社の所有であるが、店舗に来るお客さんなど誰でも出入りできる環境でもある。労災保険では退勤していても会社の敷地・構築物での怪我などは業務上の労災扱いとなる。
これが公道上のけがであれば通勤災災害となるのである車道 害となる。この場合退勤時の状態、場所関係、建物の状態など検討した結果業務上災害とされたのである。