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業務の館 
  労働基準・労務関係の部屋


労働者死傷病報告について


  従業員が業務中にケガまたは死亡した場合は、労働安全衛生規則第97条により労働基準監督署長に労働者死傷病報告を提出しなければなりません。なおケガなどしても休業しなかった場合、社長などの労災特別加入者の場合はこの報告は不要です。未提出の場合は、労災隠しと見なされ厳罰をもって対応され、場合によって労働安全衛生規則違反ということで処罰され、検察に送検されることもあります。また虚偽の報告とされると同じような扱いとされますので、ありのまま報告する必要があります。


  労働者死傷病報告様式は2種類あり、休業4日以上または死亡の場合(様式第23号)と休業4日未満の場合(様式第24号)とあり、それぞれ下記のように提出期限が異なっています。
 
  休業4日以上または死亡の場合 遅滞なく(概ね2週間以内とされている)
  休業4日未満の場合
  1月~ 3月発生分→ 4月末日  4月~ 6月発生分→7月末日
  8月~10月発生分→11月末日 10月~12月発生分→翌年1月末日
   ※4日の数え方は歴日数(土日祝日も含む)でカウントされます。
 

  提出する労働基準監督署については、原則事業所を管轄する労働基準監督署となっています。なお建設業の場合は、建設現場を管轄する労働基準監督署となっていて、例えば高松市にある建設会社に所属する従業員が坂出市の建設現場でケガした場合、労働者死傷病報告の提出先は坂出労働基準監督署となります。


  建設業の場合、労災保険の請求は元請が行うことになりますが、労働者死傷病報告は従業員が直接所属している事業主が報告義務者となっていることから、下請で元請の建設現場でケガした場合の報告義務者は下請事業主となります。時折これも元請がするものと勘違いするケースがありますので注意が必要です(この場合の労働保険番号は元請の労働保険番号を記入します。)。

  派遣会社(派遣元)から派遣された労働者がケガした場合は、派遣先の事業所が派遣先事業所を管轄する労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出することになります。そしてこの提出した労働者死傷病報告の写しを派遣会社に提出する必要があります。これをもとにして派遣会社も派遣会社を管轄する労働基準監督署に別途労働者死傷病報告をしなければなりません。なお派遣先からの写しも添付書類として提出します。つまり派遣の場合は、派遣会社と派遣先事業所ともに提出義務があるわけです。


  休業日数のカウントについては、労働者死傷病報告の場合はケガした日の翌日からカウントするので、ケガの当日勤務中に通院してそのまま帰宅しても、その翌日以後1日の休業もなかった場合は労働者死傷病報告の提出も必要ありません。

  ちなみに労災保険の場合は、所定労働時間中にケガをして、当日中に通院してそのまま帰宅した場合はケガの初日から1日目としてカウントします(当日は1部休業)。 なお所定労働時間後の残業時間中にケガした場合、また所定労働時間中にケガしたが所定労働時間の後通院した場合については、ケガした日の翌日が1日目となります。


  特に4日以上の休業の場合は、解釈上ケガした日から2週間以内の提出が求められていますので、事業主においては、従業員が業務中ケガした場合は当事務所にいち早くご一報くださるようお願い申し上げます。
 ご連絡いただきますと、お電話だけでは正確なイメージがつかめないため、当事務所では事業所にお伺いしてからケガにいたった状況や背景などお話しいただいてから、労働者死傷病報告、労災保険請求(まず取り急ぐのは5号用紙など病院や調剤薬局に提出)の書類の作成準備に取りかかっております。労働者死傷病報告については、現在当事務所ではすべて電子申請にて送信しております(本報告は、令和7年1月以後は電子申請義務化となっています)。

 最後に余談話ですが、労災の休業補償給付の請求書の第1回目の時には、労働者死傷病報告提出日の記載欄があり、提出していないとそこに記載していないと労災課担当官より必ず聞かれることから労働者死傷病報告の提出は必要です。また交通事故などで自動車保険などでまかなって労災保険の請求していない場合でも、労働者死傷病報告は必要となりますので注意が必要です。


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