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業務の館 
  労働基準・労務関係の部屋


未成年者の労働契約留意点について


  令和4年4月1日から民法改正により成年年齢が引き下げられ、20歳から18歳となりました。成人になると法定代理人(親や後見人)の同意なくとも自己の意思で契約行為(労働契約も含まれる)をすることができるようになるわけです。 ということは18歳未満の従業員を雇い入れる場合は、法定代理人の同意が必要となるわけで、実務では同意書を作成し提出してもらう必要があります。同意書を確保していないと、ある日突然親権者や後見人から労働契約はないものとして取消権を行使されれば・・・複雑な問題となってしまいます。


  さて労働基準法など労働関係法令などでは、未成年者の雇用に際して様々な条件があり、主なものを取り上げていくと、以下のようになります。

  労働契約は本人が結ばなければなりません。親権者や後見人が代わって結ぶことはできません(労働基準法第58条)→なお労働契約が未成年者にとって不利な場合は、将来に向かっては取り消すことができます。

  事業場に年齢証明する戸籍証明書(公的書類)を備え付ける必要があります(労働基準法第57条)→実務上は、住民票記載事項証明書、住民票などであり、氏名と生年月日が確認できれば要件を満たすことになります。

・労働時間・休日などの制限(労働基準法第60条)
  →8時間を超える時間外労働、法定休日(週1回の休日)、1年変形労働や1ヶ月変形労働
   などの変形労働時間での労働はできないことになっています。

  深夜業(午後10時~午前5時)の就業ができません(労働基準法第61条)

  危険有害業務の就業制限または禁止(労働基準法第62条)→以下は例示ですので、労働契約時には関係法令などの確認を行う必要があろうかと思われます。
  重量物の取扱い業務
  運転中の機械等の掃除、検査、修理等の業務
  ボイラー、クレーン、2トン以上の大型トラック等の運転又は取扱いの業務
  深さが5メートル以上の地穴又は土砂崩壊のおそれのある場所における業務
  高さが5メートル以上で墜落のおそれのある場所における業務
  足場の組立等の業務
  大型丸のこ盤又は大型帯のこ盤に木材を送給する業務
  感電の危険性が高い業務
  有害物又は危険物を取り扱う業務
  著しくじんあい等を飛散する場所、又は有害物のガス、蒸気若しくは粉じん等を飛散する場所又は有害放射線にさらされる場所における業務
  著しく高温若しくは低温な場所又は異常気圧の場所における業務
 
  原則として満15歳になって最初の3月31日までの児童の使用の禁止(労働基準法第56条)

  賃金については、単独で請求取ができます(労働基準法第59条)→親権者や後見人が未成年者の賃金を代わって受け取ることはできません。
 

  そして未成年者従業員の労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金については、それぞれ制度において加入条件を満たしておれば適用されることはごく当然なことです。ただ厚生年金保険被保険者は国民年金保険被保険者でもあるとイメージされていると思われますが、原則20歳以上から60歳未満が国民年金保険被保険者なので、未成年者従業員は先に厚生年金保険に加入することになります。


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