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業務の館 
  労働基準・労務関係の部屋


産前産後休業にまつわる話題について


  まず出発点となるのが、労働基準法第65条です。

第六十五条 
  使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

②使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと 認めた業務に就かせることは、差し支えない。

③使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させな ければならない。

  産前は従業員が請求した場合となっていますが、産後は例外を除き原則は就労禁止となっています。では産前産後の期間を数える場合ですが・・・、出産予定日については、本条の行政解釈として以下のようなものがあります。

 (出産日の取り扱い)
  問 出産当日は産前6週間に含まれると解してよいか。
  答 見解の通り。


  つまり労働基準法では出産日(出産予定日)は産前とされ、この日を含めて産前6週間を数えていくことになります。なお民事の原則である民法第140条 第138条を見ていくと、

(期間の起算)
第百四十条  
  日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。 ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

(期間の計算の通則)
第百三十八条 
期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。

  第140条では初日不算入の原則があるのですが、第138条によると別段の定めがある場合は、民法原則とならず別段の定めによるものとされており、本件についても労働基準法などにより、出産日(出産予定日)は初日に参入して6週間を数えていきます。


  さて協会けんぽと厚生年金保険の被保険者は、産前産後のために勤務先を休業している場合、その期間中に産前産後休業届を日本年金機構に提出すれば、健康保険料と厚生年金保険料について、休業された月から休業が終了した日の翌日の前月分(※)までの保険料が、本人・事業主双方共に免除されます。なお年金の評価については保険料を支払ったものとして扱われます。 産前・産後休業期間中に届出を失念すると、そのまま保険料は徴収されますので注意が必要です。
  (※)=終了日が末日の場合は、産前産後休業終了月までとなります。

  なお産前の場合、出産予定日でもって届出するために、出産日が出産予定日と異なった場合、また産後休業の終了予定日が何らかの理由で変更となった場合などは、産前産後休業届の変更届が別途必要となります。この変更届の結果、産前の開始日や産後の終了予定日が変わるわけですが、月をまたいだ場合は、保険料の免除月が変更となることがあり、それに伴い保険料の精算が発生する場合もあります。そもそも引き続いて育児休業される場合は、育児休業等取得申出書を日本年金機構に提出すると、産前産後休業届と同じように保険料の免除が受けられますので、産後の場合はあまり影響がないものと思われます。


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