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  労働基準・労務関係の部屋


従業員が裁判員に選任された場合の事業主の対応について1



 
さて従業員が裁判員に選任された場合、人事・労務の方ではどのような対応をしたらよいのかを、今回取りまとめてみましたので、ご参考いただければと思います。

1,裁判員制度の概要について

 裁判員制度は平成21年5月21日から開始され、地方裁判所での刑事事件(※)について、原則として裁判員6人と裁判官3人が,一緒に刑事裁判の審理に出席し,証拠調べ手続や弁論手続に立ち会った上で,評議を行い,判決を決めていきます。。
 ※=代表例として殺人、強盗致死傷、傷害致死、危険運転致死、 現住建造物等放火、身の代金目的誘拐、 保護責任者遺棄致死、覚せい剤取締法違反

 裁判員の選ばれ方については、地方裁判所ごとに,管内の市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿(※)からくじで選んで作成した名簿に基づき,該当する年の前年秋頃に、翌年の裁判員候補者名簿を作成されます。但し裁判員候補者名簿に登録されるのは20歳以上に限られます。
 ※=市町村選挙管理委員会が公職選挙法により、住民基本台帳をもとに選挙人名簿への登録等がなされます。原則として登録の条件としては、以下の通りです。
 ・日本国民であること
 ・年齢が満18歳以上であること
 ・引き続き3カ月以上同じ市区町村に住民票があること(転入の届出を行ってから、3カ月以上同じ市区町村に引き続き住んでいること。)
 
 裁判員候補者名簿に登録されたことを、該当する年の前年11月頃に裁判所から通知され、同時に調査票も送付されます。ここで就職禁止事由や客観的な辞退事由に該当しているかどうかなどたずねられます。そして各地方裁判所において具体的に裁判員の参加が必要な裁判が発生したときには、事件毎に裁判員候補者名簿からくじで選出され、質問票を同封した選任手続期日のお知らせを送付されますので、ここで裁判員候補者となり、裁判所(裁判長)は各候補者の事情や裁判の公平性を考慮して、裁判員6名と必要に応じて補充裁判員が選出されます。 


2,実際に従業員が選ばれた場合の基本的スタンスについて

 労働基準法 第7条(公民権行使の保障)
 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
 ※裁判員は、労働基準法第7条の「公の職務」と厚生労働省の通達で解釈されています。
 ※労働基準法第7条違反の罰則は同法第119条第1号にあり、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」とされております。

 裁判員法 第100条(不利益取扱いの禁止)
 労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇 その他不利益な取扱いをしてはならない。

 裁判員については、上記の通り、労働基準法と裁判員法により保護を受けておりますが、法務省HPの従業員の方が裁判員等に選ばれた場合のQ&Aの記事の冒頭あたりの記事内容において、

 その休暇を有給休暇とするか無給休暇とするかは,各企業の判断に委ねられています。しかしながら,幅広い国民の方に参加していただきたいとの観点から,裁判員等に選ばれた従業員の  方が参加しやすいよう,特別な有給休暇として対応いただくなど,できる限りの御配慮をお願いしているところです。 

ということなので、もし従業員が裁判員の選ばれたときにはご協力をお願いしますというスタンスだと思われます。

 それでは、実際に従業員が裁判員に選ばれて事業主が相談受けた場合、どのような対応したらよいのかについては、次回以後にご紹介いたします。

 【本記事作成にあたって参考した資料など】法務省HP・従業員の方が裁判員等に選ばれた場合のQ&A 最高裁判所HP・裁判員制度Q&A/電子政府総合窓口HP・法令・e-Gov法令検索 総務省HP・なるほど選挙


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