無断欠勤をし続けた労働者には・・・
就業規則に無断欠勤を14日以上した場合には解雇することができる・・・などと規定している就業規則がよくみかけられます。ここで労働者の住所地が分かっていれば事業主は出勤督促を数回実施して、これでも応じない場合は配達証明を伴う内容証明郵便を送付するなど証拠を確保しておく等の対策が必要です。ここでも応じない場合は再度内容証明郵便で解雇の通知をして、即刻解雇の場合は労働基準監督署で解雇予告除外認定申請を実施して認可されない限り、30日分の解雇予告手当が必要となります。
さてここで労働者の行方が分からず失踪(しっそう)してしまった場合は、事が面倒でどうやって事業主の意思表示を伝え、解雇を有効に実施するのか悩ましい問題です。ここで家族の行方は分かる場合がありますが、家族に伝えてもこれは解雇は有効となりません。労働者本人に意思表示が到達してないからです。
この対応策としては、所在不明の労働者本人にする方法として民法第97条2による公示送達をする必要があるのです。具体的には失踪当時の最後の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てをすると、簡易裁判所は裁判所の掲示場に掲示し、掲示した事を官報や新聞に少なくとも1回は掲載することになっております。必要と簡易裁判所が認めた場合は市町村役場またこれに準ずる掲示場に掲示することを命令ずることもできます。こうして2週間経過したときに労働者本人に事業主の意思表示が到達したと見なすことができ、ここから30日経過したときにやっとの思いで解雇が成立することになるのです。ここで即時解雇をしたい場合は解雇予告手当を供託所に供託する必要があり、その事を公示送達するときに表明する必要があります。給与が振り込みだったので解雇予告手当を振り込んだら・・・と思いますが、これは失踪した労働者が通帳をもっていることが判明していたら別ですが、そうでない場合は届いたという確認ができないため方法として適切ではありません。
退職金の扱いも前記解雇予告手当と同一の方法をとる必要があります。
私たちの実務上としては、失踪はほとんどないが無断欠勤しての敵前逃亡はままありまして、これが雇用保険がらみの助成金がからんでいた場合には対応に非常に苦慮しております。また社会保険料を籍がある限り事業主負担はあるし本人負担分も立て替え払いしなければならないし踏んだり蹴ったりですよ。