退職後再雇用された方の保険料について
今回は従前から60歳定年時の再雇用を行い賃金の変更があった場合に、同時に被保険者喪失届と資格取得届を行うと厚生年金と健康保険料の標準報酬等級の見直しがただちに反映されてきました。今回日本年金機構は、これを61歳から64歳までの方が同じように再雇用された場合においても適用することになり、平成22年9月1日(平成22年8月31日退職)より適用されることになりました。
それでは適用されるケースを整理してみましょう。
1,老齢厚生年金を受給者、まだ裁定請求はしていないがすぐにでも裁定請求できる条件のある者。
2,定年退職し1日の空きもなく継続して再雇用される場合。定年前に退職して1日の空きもなく継続して再雇用される場合(定年制のある会社の場合)。定年制がなく退職後1日の空きもなく継続して再雇用される場合。
日本年金機構のホームページのQ&Aにおいて、『例えば、定年が61歳と定められている事業所において、定年後継続して2年間再雇用された後に退職し、さらに継続して1年間再雇用された場合も対象となります。』とありますので、使い勝手はよいと思われます。
次に通常の月額変更届の場合とどう違うのか見ていきましょう。(30万円から継続雇用後20万円に賃金変更になったケース)
1,通常の月額変更届の場合
平成22年 9月 賃金20万円 標準報酬月額 30万円
10月
11月
12月 随時改定 標準報酬月額 20万円
平成23年 1月 ここから給与明細で標準報酬月額20万円の保険料を控除前月までは標準報酬月額30万円の保険料を控除
2,本ケースが適用になった場合
平成22年 9月 賃金20万円 標準報酬月額 20万円
0月 ここから給与明細で標準報酬月額20万円の保険料を控除
という事で、被保険者と会社もお得になりますのであてはまりそうな場合は検討する余地があろうかと思われます。また老齢厚生年金受給者で在職調整で減額や全額停止になっている方の場合、いち早く増額もしくは全額停止が解除されるケースもあります。
手続は、通常の資格喪失届と資格取得届、添付書類としては、被保険者資格取得届には、新たな雇用契約を結んだことを明らかにできる書類(退職したことがわかる書類、再雇用時の雇用契約書又は事業主の証明等)の写しが必要となります。そして健康保険証は被扶養者分含めて一旦返却して、改めて交付を受けることになります。また健康保険の傷病手当金を受けている方は、新たに被保険者資格取得届を提出されると、再雇用後の標準報酬月額をもとに給付額の計算を行うので、留意する必要があります。
ちなみにこれらの手続を社会保険労務士が取り扱う場合、上記の添付書類は証拠書類として確保しつつ、所要の記載を資格取得届に記載すればよく提出する必要はないことになっています。