出産・育児休業の手続から1
今回は出産したり、育児休業取得、職場復帰を経るときに、社会保険や雇用保険のいろいろな手続が発生します。順を追ってどのような手続があるのか、みていきたいと思います。
1,出産
ここでは、出産予定日含む前42日、出産予定日の翌日から56日までは健康保険では出産手当金支給申請書により請求できます。該当するのは出産のために会社を休み賃金を得られない場合、標準報酬月額の1/30(標準報酬日額)の2/3が日額として、休業した日数分が支給されます。但し出産予定日より実際の出産が遅れた場合は、実際の出産日の翌日から56日までとともに、出産予定日の翌日から実際の出産日の間も支給の対象となります。そして全期間一括請求、分割請求どちらもできます。
出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書は、平成21年10月以後の出産の方からは原則健康保険から医療機関等への直接払いになったことにより、従来の出産育児一時金支給申請書とは別にできた申請です。この申請は出産費用が1児あたり42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等は39万円)未満の金額しか医療機関等支払いがない場合は、別途差額請求分の支給請求が可能となります。その逆の場合例えば43万円かかったなどの場合は、医療機関等に差額の1万円を別途支払うことになります。
なお従前のように、医療機関等に一旦全額支払ってから出産育児一時金支給申請書として請求することもできます。
そして出産すれば被扶養者異動届が必要となり、手続はお子さんの名前が決まってからとなります。当事務所では被保険者の方の同意書(所定様式)があれば、電子申請で紙提出より早く保険証がお手元にすることができます。あらかじめ同意書を先にもらえれば、お子さんの名前を電話連絡いただければ手際よくできます。
2,育児休業開始した場合
出産日から数えて58日目から、原則子が1歳になるまでが育児休業となります。まず育児休業が開始された日の月から育児休業が終了した日の翌日の属する月の前月までの、厚生年金保険料と健康保険保険料が、被保険者負担分・事業主負担分共に免除の適用を受けるために育児休業等取得者申出書の提出が必要となります。したがって育児休業開始した日の月より以前の月は、被保険者・事業主とも保険料負担が必要となります。出産前後休業している場合、保険料は大抵の場合事業主が被保険者負担分も立て替えていますので、何らかの形で被保険者から回収する必要があります。
また雇用保険からは育児休業給付の請求が可能となります。これの請求は2ヶ月毎に請求手続を行い、例えば初回は、育児休業開始した日から2ヶ月後を締め切り日として、この締め切り日の翌月末日までに事業所所在地の公共職業安定所に申請します。
初回については、 育児休業基本給付金(初回)支給申請書、休業開始時賃金月額証明書を提出することになります。添付書類は賃金台帳や出勤簿、母子手帳の写しが必要となります。 2回目以後については、支給決定通知書とともに次回分の申請書が同封されていますので、その申請書と賃金台帳と出勤簿の写しが必要となります。支給額は休業開始時賃金月額の30%(育児休業開始日が平成22年4月1日以後の場合は50%)です。
当事務所ではこれらの申請は電子申請で行い、また都道府県労働局より添付書類の照合省略を受けていますので、先に挙げた添付書類は当事務所が電子申請する際の証拠書類として保管し、電子申請時には添付省略できます。この電子申請をするためには被保険者の同意書(所定様式)が必要となります。