高松風土記０９　高松市発足

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　　高松風土記

高松風土記９　高松市発足

　日本に市政が初めて敷かれたのが明治２２年４月１日に３１都市が誕生した。高松
は、前年１２月に香川県が愛媛県より分県したばかりで、県庁の機構整備におわれ
てこの時には市制が敷かれなかった。しかし当時人口が３万３千人あまりの全国でも
１９位の市街地を要しており、当時の市制施行基準２万５千人以上の市街地を要する
ことの条件は満たしていて、市制実施４０市の対象の中に入っていたのである。

　そして８都市が市制施行される中、高松は関係者の協議・調整が整わないままにな
ってしまった。明治２２年１２月に全国各府県知事２０人の更迭（当時は国が任命して
いた）があり、香川県知事も対象となり新任命の知事が赴任にあたって内務大臣に施
行の願いを上申しておいた結果、明治２３年２月１５日より高松には市制、その他に町
村制を実施しなさいと指揮されたのである。そうしてあわただしい準備期間を経て、全
国４０番目の市として高松市が誕生したのである。

　高松市の市域は主に旧高松の城下町がそのまま移行されており、東は仙場川で新
橋や今橋は東浜村の境界、東南は現在の瓦町の裏にある八坂神社付近が東浜村と
の境界、南は石清尾八幡神社の通りが栗林村の境界、西は現在の亀岡町にある御旅
所付近が宮脇村との境界、北西部は丸亀・伊予方面の街道筋があったため人家が集
まっていて市域が伸びており、摺鉢谷（すりばちだに）川が西端であった。市域面積は
２．８５平方キロ　戸数６，３５６戸　人口３３，８６３人であった。

　さて市議会議員の選出だが、議員選挙が３級に分かれておりそれぞれ１０人ずつの
配分となっている。有権者の条件は、２５歳以上の男子で戸主であり、２年以上市に居
住し、市税及び地租又は直接国税２円以上納付している事であった。そして有権者はさ
らに３級に分けられ、直接市税納付額の総額を３等分して、納付額の多い者から順次
累計していき３等分の額に達するまで１級選挙人・・・というようなので、当然級が下が
るほど有権者が多くなっていく。また級毎に選挙していくので１票の重さは大変な偏重が
あった。被選挙権は有権者すべてにあり、３級選挙に落選しても１級選挙に当選するこ
とも可能だったようである。市会議員の任期は６年で３年ごとに半数改選だったが、明
治４４年に任期４年・全員同時選挙に改正されている。

　市長の選出は、市議会で議員の中から１人毎に匿名投票をして過半数得た者が当
選とされ、これを３回実施して３人を市長候補者として市議会議長から内務大臣に推
薦する。そして内務大臣の裁可を得られた候補者が市長に就任するものであり、この
制度は日本国憲法施行時まで続けられたのである。

　このようにして高松市の体制が整っていき、明治２２年６月５日に古馬場町の福善寺
を仮庁舎として発足することになったのである。

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