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  高松風土記


高松風土記3 ため池 続編


 
引き続きため池をテーマとして話題を進めていきますが、今回はため池の水の運用について中心に進めていきます。この運用については讃岐には大きな河川があまりないためため池に頼る状態で、この水の配分を巡ってこまかい慣習が定められており、現在においても江戸時代の慣行が残っているケースもあるぐらいである。たとえ水源がほかに開発されて配水されていても、従来の水利慣行が見事なまで引き継がれ、それを守ることにより秩序が保たれ、管理組織や運営 費用負担にまで影響を与えるほどであったようだ。規模は数部落規模から村単位、はては満濃池のような数十の村にまたがる規模まであった。


 讃岐の配水慣行としては、ため池の需要に応じたユル抜き慣行がある。これは田植えの時期に慣行によって、池のユルを抜いてどれだけの水を配水して、何処にどれだけ水を配分するかのを池の貯水能力や供給量、また平時なのか渇水時なのかによって決まっており厳重に守られていた。規模が大きくなるとやはり複雑になってしまうが、基本的には池に近い順番から配水していき、池から遠い地域ではまず自己水源(ため池や河川)を利用して田植えをすまして、補給水の時期に大元のため池から自己水源のため池に引き込んで調整池として活用していくのである。


 次にため池から幹線水路に配水された水は、さらに支流水路へ分けられることになるが、この分けられる地点を股(また)もしくは分股(わかれまた)と呼ばれていた。ここの配分の方法が常水と番水の2通りある。前者は常時に同時に各水路に分配するので、利用者にとっては自由に用水が得られ便利ではある。しかしこれも平等とはいかず必然的に池の近い部落が有利な慣行になっているのがほとんどである。その理由がため池造築に対する功績褒賞とか、ため池決壊に対する危険補償なのだそうだ。後者は各分水量に応じて予め決められた順序・方法で所定の時期だけ順次特定水路に集中的に配水するので、配水管理に労力と費用を要し、ほしいときに得られないし争いが多くなってしまう。この場合は管理人を交代で終日配置するケースが多く、その管理人の監督までいるといった調子である。


 さらに進んでいくと、渇水時最終手段としてため池の貯水量が一定以下になると、この残りの水については特定のものが他に優先して独占してしまう慣行もみられる。なおさらに讃岐独特の慣行「水ブニ」というのがある。ここまでとの違いは、ここまでの慣行は同じ用水路の土地所有者の全体の共同管理で等しく権利を有するものであるが、水ブニは水田毎1筆毎に配水慣行が定められていて、土地所有者は用水権の持分の多い少ないによって、たとえ同じ用水路の土地所有者の水田であっても、一方で水は潤沢にまかなえるが、隣の水田は必要量の半分しかまかなえないということも発生し得るのである。これは渇水時だけでなく日常から実施されていたようである。


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